教育パスウェイズは、難民が高等教育の機会を通して第三国に移動し、国際的保護を受け、自立して暮らすことを可能にします。
2020年末、紛争や迫害、暴力、人権侵害などにより故郷を追われた人の数は8,240万人に達しました。
8,240万人
全世界で強制的に移動させられた人の数
その86%は、難民の出身国近隣の低中所得国に受け入れられています。世界最大の難民受け入れ国はトルコ(400万人)で、コロンビア(170万人)、ドイツ、パキスタン、ウガンダ(各140万人)と続きます。これら庇護国の負担を分担するために、各国は庇護国から第三国への定住を支援していますが、政府による努力だけでは足らないのが実情です。このような背景から、民間の組織や市民社会が政府と協力して、教育、労働、家族の再統合の機会提供などを通して、政府による受け入れを補完するプログラムが促進されるようになりました。教育パスウェイズは、奨学金制度を用いて、難民やその家族を第三国に受け入れ、教育の機会と保護を提供するプログラムです。2019年の難民の再定住と補完的な受け入れの道筋(=パスウェイズ)を拡大するための3カ年戦略(2019-2021年)は、2028年までの10年間に200万人の難民を第三国に受け入れる目標を立てました。
2020年3月、高等教育機関に在籍する若者の割合は全世界では39%でしたが、難民にはわずか5%でした。2019年、UNHCRは2030年までに高等教育を受ける難民の割合を15%までに引き上げる、「15 by 30」という目標を立てました。高等教育は、若者を学習から就職に橋渡しする重要な役割を果たします。日本には800以上の大学と、2,700以上の専門学校が存在します。各校がたった一人でも難民の学生を受け入れれば、何千もの若者の人生を変えることができるのです。
高等教育機関は、才能豊かな学生に教育の機会を提供することによって、大きな恩恵も受けます。これらの学生は、困難な状況に直面しつつも、教育への情熱を持って、さまざまな障壁を乗り越えてきました。彼らを迎え入れることで、各キャンパスにより多様で豊かなコミュニティが形成され、グローバル市民の育成に繋がります。